擦過傷

さっかしょうと読む。これは外傷、すり傷のことをいい、皮膚の表面を地面やコンクリートなどにこすりつけた際にできる傷を指す。自動車事故に遭った歩行者に見られるという。自動車に衝突され、人体は舗装道路上をすべらされる。その摩擦熱で皮膚は真っ赤になる。この傷の症状を写真で見たが、とても痛々しい。3月11日、東日本大震災が5年の経過だ。この日の夜8時、NHKスペシャルは、5年前のこの事件を振り返り、検証していた。中でも「擦過傷」の遺体があるというのに、目耳を奪われ、言葉を失う。まちに流れて来たあの津波、せいぜい膝下の高さであっても、物凄い力が働いており、重さ100トンのものを動かすほどだとの解説があった。やがて、まちを襲ったあの津波の映像が流れ、悔しみながら見る。この水の流れは実はものすごい力が働いていたという先の説明を聞くまで、映像を見る限りにおいては、そこまで強い流れだと窺い知れなかった。「擦過傷」の遺体の人々は、この強い流れに逆らえず、すぐさま転倒、その膝下の高さの波の水中に引きずり込まれ、そして舗装道路上をずーっと引きずられて「擦過傷」へ至った。水中にして摩擦熱で火傷を負ったのである。こんなことがあるのかとただただ黙るしかなかった。
Jeff Beck Group / Definitely Maybe 1972(1972年のジェフ・ベック。インスト。15) ::::: https://www.youtube.com/watch?v=J9nWukjnwhw