描写音楽

描写音楽、こんな言葉があるがご存知だろうか。今年8月、初めて知った。毎週チェックのラジオ番組「菊地成孔の粋な夜電波」で菊地さんが教えてくれた。これは、情景を描写する音楽のこと。その例に、日本人ジャズ・メンの菊地雅文の作品が流れた。と云っても、菊地(ま)さんが他界されたため、成孔さんが哀悼を込めて特集をが組んだのだ。7月ON AIRのものだが、8月に聞いた。菊地さんは以前から海外に拠点を置き活動、何年前からか、病院で闘病生活を送られており3ヵ月前の7月、ニューヨークの病院で亡くなったという。流れた楽曲作品は、1981年作「ススト」から〝サークル・スラッシュ・ライン"。確かスペイン語でホントは"ススート〝と伸ばすのが正しく、デジャヴ的な意味合いを持つらしい。僕はこれを2007年の夏に入手、聴いていた。「200CD 21世紀のジャズ」というディスクガイド本(立風書房刊)で紹介されていた菊地(ま)さんの「ワン・ウェイ・トラベラー」と勘違いして、こっちを¥550で買ったのだった。でも、これ、一曲目、この〝サークル〝何某に針を落とせばイキナリ「良い!」と耳を奪われた。しばらくして疎遠になり聴いていなかったのだが、この楽曲の内容を初めて知った。菊地さんの解説によると、これはニューヨークの地下鉄で巻き起こるサウンドを描写したというのだ。曲が流れる中、「ここは発車の合図、そして電車の走る音、ここは駅が近い付いてきて電車が停車したときの音、ここは再び出発進行の合図音、走り始めた音」というふうに詳細な案内とともに聴くこの音楽は「へぇー、そうだったのか」と面白さ全開。菊地さんは高校生のとき、このアルバム・ツアーを中野サンプラザまで観に行った、と面白おかしく語っていた。なお、この作品、ジャズ界では最も製作資金が掛かったものとして最高記録を持つらしい。アメリカのジャズ界でである。世界記録ということになるが、それが日本人とは驚き。CBSが出資したらしい。しかし売れなかった。余談だが、ポップス界でこうした凄い予算を掛けた人は、スティーリー・ダンのドナルド・フェイゲンで、ジャズとは桁違いな金額らしいが、これは(ナイトフライ)売れに売れ、しっかりPAY出来たとのこと。最後に、成孔さんは、10年以上昔からこの曲をメンバーたちと練習しまくり、ずうっとライブで演奏しているらしく「今後もやっていきますけどね」と力強く語っていたのが印象的だった。
チューン:Masabumi Kikuchi-Circle/Line(聴いてみてね。14890) → https://www.youtube.com/watch?v=0kPzaKaId4I