中野サンプラザにてライブー27

ステージ照明の再暗転は起こり得ず、やがてオーディエンス席も明るく照らされた。コンサート終了である。みんな一斉に席を立つ。ちらっとそれぞれの顔を観察してみた。半分以上の表情は、笑顔でなく普通だったように見えた。疲れたのだろうか。前列の二人連れさんと会話してみたい気分だったが、お二人とも既に座席から立ち上がっていて、言葉を交わしながら、みんなの行列に混じりつつ、ちょっとづつ歩を進めていた。俺が声を掛けた方の横顔は笑顔であった。何を言っていたのかは聞こえない。「久々のライブで良かったねぇ」とか「楽しかったなぁ」とか「あーぁ、また明日、会社だな、休みてぇ」とか言ったのか。俺は、挨拶がてら声を掛けたかったが、何を言おうか考えてしまった。これがいけなかったようだ。どうしようもなく気恥ずかしさが前面に出、掛けず仕舞いと相成った。あちらの横顔表情を見て察するに、こちらから声を掛けられたとしても五月蝿くなさそうな雰囲気を醸し出していたのは確実だ。彼らはどんどん行列の中、先へ先へと消えて行く。しかし、こういうとき、何て言うのもんかねぇ、「お疲れ様でーす」か。いや、違うな、労働してるんじゃないんだから。さ、そろそろ俺も行列に混じるとするくぁー、と席を立った。
チューン:MSG - Into The Arena Live(いい音してる、痺れるねぇー!1984年、日本は西武球場のへヴィ・メタル・フェスティヴァルでの演奏。他に、アンヴィルボン・ジョヴィスコーピオンズジョン・サイクス期のホワイトスネイクらが出演。873) → https://www.youtube.com/watch?v=S-r0p-ZAKXA