サンバイザーとクリップで固定するサングラスー2

これら品々が僕の頭から、パッと離れた。後ろへ飛んで行った。「あっ」、一瞬の出来事である。運転しつつ後方を振り返る。品々は環七路上を少し舞って下に落ちた。後ろからやって来る自動車の下を潜り通過し見えなくなった。品々が飛ぶとは予想だにしなかった。これまで坂道を下っていくら風を切っても飛んだことがなかったからだ。しかし今回は突風だった。突然の強い一瞬の風...。こういう風があるのだな、とその風の思い掛けない強い力に対して、ただただ無力で敗北を喫したのだった。品々が飛び離れると、太陽光を遮断するため頭にタオルを巻いた僕の顔姿が露わになる。まるで月光仮面のおじさんが風によって仮面がはがれたとでも例えてみようか。一人失態を演じ、人が見て揶揄しているのではないかと妄想し、なんかこうとても羞恥心が湧き起こり顔が強張った。環七は2〜3車線の都道で交通量が多い。次から次へと車が「ヤァ、ヤァ、ヤァ」とやって来る。これら品々を拾い取り返す気は起きても、実行は無理。だから自然、自転車のブレーキに手を掛けることもなかった。自転車を止めたところで拾える状況は来ない。それに意地になって付き合っていたら遅刻してしまう、それはできない。
本日チューン:最近の自転車通勤で、頭の中でよく鳴っているミュージックはこれとこれ→
ジャン・リュック・ポンティ/upon the wings of the music(フランス人バイオリン奏者。21歳ぐらいの時、よく聴いたアルバム「明日への翼」(確か邦題はこう)から一発目のチューン。1975年リリース。強力なリズム隊とギターのレイ・パーカーJr.、女性キーボード・プレイヤーのパトリス・ラシェンをバックに従え、ポンティのバイオリン・ソロが縦横無尽に駆け巡る)http://www.youtube.com/watch?v=GJHZeug5DcY&feature=related(21360)
ニュークリアス/gone with the weed(イギリス人トランペット奏者、故イアン・カー率いるグループ。後期のアルバム「out of the long dark」から。1979年リリース)http://www.youtube.com/watch?v=y7k_mh-w9Y4&feature=related(7171)