A級順位戦ー6

対局には、万全の調子で、とまでは望まない。せめて、勝負に専念出来る状態で、と願う。テレビからは、名人戦主催の新聞記者が谷川さんに残留決定を伝えた様子が流され、インタビューも続いて始まった。残留の結果を聞いた谷川さんは、棋士当人でなければわからないと云うべきであろう、その色々と入り混じった感情ゆえに上半身が突き動かされ「あ、そうですか」と苦笑した。そして「落ちると思っていましたので(意外な結果です)」と続けた。降級するという覚悟がうかがい知れ、僕は目を見張った。成り行きを見守る。残留が決まり再びエリート・クラスでの対局する切符を手に入れたわけだが、谷川さんは全く素直に喜びを表していなかった。「負けた対局はほとんど完敗だった。そろそろ引退期に入ったと感じている。でも、また一年、A級でやらせてもらえるなら、頑張って勝負を続けていく」と厳かに語った。画面に映る谷川さんの横顔からは切迫感のようなものが充満していた。僕は今期A級における2勝7敗の谷川さんの棋譜を並べて観戦したわけではなく、どう完敗だったのかはわからない。と言っても、「棋譜並べ」をやったところでアマチュア4段の僕が、谷川さんの実力が落ちているのか、不調さはどの辺か、などという大それたにもホドがある分析が叶うはずもないのだが、谷川さんは弱くなっているのだろうか?何年か前、谷川さんの著作を読んだ。「55歳ぐらいまで第一線で現役を続けられたら良いと思っている。勝負師としての人生が終わったあとにも他の道のりがある。それを歩まなければならない」と書かれてあったのが忘れられない。谷川さんは1962年生まれである。
テリエ・リピダル/to be continued(11074) → http://www.youtube.com/watch?v=NBJjgBRQzjg 1981年リリース。ノルウェー人ギタリストで1947年生まれ。作曲はドラムスのジャック・ディジョネット。ベースはミロスラフ・ヴィトウス。リピダルの1975年作の「オデッセイ」(2枚組)が最高に良かったのを知っているので、中古屋さんに行ったとき50%引きコーナーでこのアルバムが入っていたのを見てすぐ買ってみたのだった。半額の¥600。とっくに売却したのだがこの楽曲以外は何も覚えてない。