映画「今度は愛妻家」-2

各俳優の役所だが、豊川はどういう事情か仕事をせず家で覇気が無く過ごしているかつては名の通った写真家、薬師丸はその妻、石橋はオカマ・バーのママである。そのブラブラとやり過ごして何事にも興味を示さない夫に対し、妻が夫を奮い立たせるべく興味を引こうと根気良く世話や叱責を繰り返す場面が豊川と薬師丸の間でしばらく続く。豊川はおとなしい演技が目に付き、薬師丸は反対に感情面を吐露している。僕はこの両者、豊川を「12人の優しい日本人」(1991)、薬師丸を「セーラー服と機関銃」としての余韻を引き摺って観ていた。二人とも随分変わったものである。こうした調子でのんびりと進行していること約1時間過ぎ、ストーリーが急な異変を起こした。「そうだったのか」。この辺りから石橋も現れた。コミカルでありつつ懐の大きい持ち主の優しい人物として描かれていた。