渡辺真知子 Live at Sakura Hall―4

余裕心か、折角ホールに身を投じたのだから、どんなホールか目を楽しませようと、前はステージを、おっと、幕が下りているから様子はわからないのだった、左右は真横の壁まで、後ろは2階席まで見回す。広過ぎない空間で落ち着く。まだ時間はある。どんな客層か見たくなる。自分以外の人はどういう感じか本能的に好奇心が沸くのは自然なことだ。真知子さんのファンということは、ファン同士は仲間という関係が成り立つのだと僕はつくづく思う。が、実際に席が隣り合った同士お互い口を利く現象はお目に掛かれない。こんな事を考えているうち、声をかけてみようかという想いが沸いた。が、やっぱり出来ない。気恥ずかしいのと相手に悪いかなとの思いがこの行動を制御させるようだ。しかし、知らないもの同士で、ファンになった経緯やエピソード、好きな曲は何かと云った話しが展開出来たら楽しさこの上ないだろう。自分だからこそ感じ得た体験談を双方が知り合えたら、これは楽しさのみならず、真知子ファンとしての素養が深化の度を増していくに違いない。新しい何かが色々見えて来る気がする。こうした他の人がどう感じ考えているか知る過程を重ねていくことは、真知子ワールドを知り尽くそうとする上では是非とも必要ではないだろうか。