NHK「あの人に会いたい」−62

「えっ、清志郎か(当時は呼び捨て)」と頭がボーっと半信半疑状態、成り行きを見守っているうち、清志郎さんは勢いよく走ってきて姿を見せ、聴衆席へ手を上げステージ中央に陣取る。嘘偽り無い。本物だ。やっぱり本物は違う。サングラスをしていたが、なま清志郎さんに「すげぇー。本物だ」と戦慄が走った。溌溂とした動きはTVで観たそれと同じだった。そのまま仲井戸さんの歌とギターが再開される中、存在感のある春日さんというギタリストもゲストに現れて一緒に演奏し、清志郎さんはコーラスとパーカッションで参加、数曲を共演したのち、聴衆席に手を上げステージから駆け足で退いて行った。主役は仲井戸さんとばかりにMCなぞ無いまま言葉を発せず仕舞いで、これも清志郎さん一流の作法を感じさせる。一言ぐらい何か耳にしたかったが「清志郎さんなら仕方ないか」と諦めが付くから不思議だ。そうか、僕は清志郎さんと同じ空間で同じ空気を吸った経験あるんだな、実感薄いがこんなことあったのか。縁がなかったと思い続けてきたがそうでもない。ちと残念っぽいのは、サングラスを終始に渡り外す事はなかったから丸見えの顔は拝見出来なかったことか。