NHK「あの人に会いたい」−54

ピーター・グリーンという、第2次大戦終戦後生まれのイギリス人ギタリストがいる。ブルーズ・ブレイカーズというグループに、エリック・クラプトンの後釜で加入した2代目だ。ここでプレイの知名度を得たのち脱退、フリート・ウッドマックというグループで中心人物として活動した。5歳ぐらい年下の同じギタリストのギャリー・モア(日本人の発音:ゲイリー・ムーア)を認めた人としても知られている。ロックが好きな奴の表現の中に「誰々を聴いて衝撃が走った。その経験で中々ロックから抜け出せない」というのを見聞きする。とりわけ、ジミ・ヘンドリックスはその代表格だろう。ファンは「ジミ・ヘンを聴いて体中に電気が走った」というようなことを言う。僕の場合、それに似た体験がグリーンだった。二十歳だった。初めてだったのでビックリした。「おおー、何なんだ。こんなの知らない。でも良いなぁ」と自ら身体に降りかかっているその出来事が進行するのを大事に忠実に従い「こんなことあるのか」と少し畏れの気持ちを持った。