NHK「あの人に会いたい」−53

連ちゃんが言っていた事で1つ思い出されるのは、その再会する4年前のこと。夜中、シモキタから連ちゃんのアパートへ一緒に歩いている時、僕の肩に腕を回し「俺もビッグになってやるぜ、むふふっ」と口にした事だ。咄嗟に僕の頭は矢沢さんの「成りあがり」が過ぎった。確かめはしなかったが「この人は『成りあがり』を読んだんだろうな」と思った。言い方が本気っぽいがふざけたっぽい。こういうのが好きな人だったが、バンド活動で成功したいのは本音だったのはわかっていた。この人は僕より3つ年上なだけだが昔の洋楽・邦楽をとてもよく知っていた。一緒に働いたこともある。3日間ぐらいだけだが。TVのCF(コマーシャル・フィルム)の小道具の運搬係として3日間ぐらい同じ現場でアルバイトをしたのだ。その雇い先の人物も僕には印象的な人で少し影響を受けたかもしれない。タンちゃんという、3つ年上の人だったが、この人も僕より洋楽が詳しかった。プログレシッヴが得意な人で、車の中でそれについて話しが始まると、新日本プロレス実況放送中の古館さんみたいな熱弁が中々終わらない。キング・クリムズンでは相槌を打てた対応ぐらいで、あとはとてもとても敵わなかった。この人が連ちゃんの事を「この前、音楽の話しをしたけど、あれは音楽バカ。だって、ケイト・ブッシュなんか聴いてるんだもん。音楽以外に何も興味ないんじゃない?」と言っていた。