NHK「あの人に会いたい」−50

レコード会社というのは、アーティストの新譜のために宣伝材料をこしらえる。矢沢さんのときも作られた。バス・タオルである。持て余すぐらい大きい。配色は赤・黒・白で、それまでと違うデザインの「E.YAZAWA」のロゴ入りだ。約20年間、保管していた。押入れから久々に現れたのを目にして「ただ取って置いても仕方がない、使わねば意味がない」と頭の中をパルスが走り、3年ぐらい前から使用し始めた。今も部屋に干している。
5年後の頭髪を茶髪にチャレンジした頃、柄にもなく一人であるバーに入った。一人で入るのは今のところはこの一回だけだ。初めての一人暮らしを杉並区井草で始めて1年と数ヶ月が経過したある日のこと、夜10時半は過ぎていただろうか、ある人物と会いたい衝動に駆られ、急遽、行動に移したことがあった。その人とは3年ぐらい会っていなかった。その人は下北沢を拠点としていた。飲み屋をハシゴする人で、その当時ちょっとの時期だが一緒に付いて回っていたのだった。この日、とにかく下北沢へ行けば会えると思い、井荻駅から西武新宿線に乗り向かった。知っている店を何件か回り、店の人に名前を出して滞在していそうな店名を尋ねたりして探した。そして、ある店で同じ質問をすると「今日多分このあと来ると思うよ」と言うので、ここで張ることにした。ここは近藤房之助さんのバーである。