NHK「あの人に会いたい」−36

″腹が立つ″状態とは沸いた怒りに対して上手く意識的に自制を働かせている、とでもイメージしておこう。前2者は、働かせられていない状態だ。この2者は人間足り得る思考回路としてその高度な性能を有しつつも、同時に怒りと直結する準備も有しその愚かさを発揮し得るサガを併せ持っている。頭に来る、の「頭プンプン」状態、ムカつく、の「胸イライラ」状態、この2者は百害あって一理なしであるのは、研鑽を積んだ趣味の将棋で嫌というほど知っている。こんな2者を抱えている時は勝った試しがない。負けた対戦の流れをあとで並べ直す(120手ぐらいは覚えられる。あまりな長手数な場合、勝負を決した局面ポイントだけは容易に思い出せる)と、怒りで正解手を見失っていて悪い方悪い方へと着手が進んでいるのが明らかだ。これでは何をやっても一生勝てないという結論に至るのである。この点は皆に置かれても、この僕が言うのだから承知されたい。