NHK「あの人に会いたい」−30

すると、隣人とやり取りをしているその斜め顔はまるで僕を「元気のない、はっきりしない、主張を持っていない、根性のない人間だな」と評しているようだった。今においてそれは考え過ぎの何物以外でもないことは振り返られる。自己中心的な視点であり妄想も甚だしい。このように、当時の僕が誤解したと言い切れるのは、その時の矢沢さんの全神経は隣人に注がれている以外に無いためだ。特別僕に気を掛けているわけでも何でも無い。