NHK「あの人に会いたい」−29

そして次なる進展は、自分を情けない、と責め、頭の中を「俺はダメな人間なんだ」感が支配した。僕はその余韻を引きずり下を向く状態が続いた。すると、角度45度、方向は左斜めやや頭上から「よろしく」という矢沢さんの声が聞こえてきた。その声とともに次の者へと進行している段を知り、僕の矢沢さんとの一対一の対面は過ぎ去った出来事であることを覚える。「いつの間にそんな時間が経ったのか」と遅ればせながら我に返って、矢沢さんの方を向いた。