NHK「あの人に会いたい」−15

ある日、この新曲の宣伝活動の一環で、この有線放送チームは矢沢さんの事務所の方と席を同じくした。宣伝戦略の会議みたいな感じだったのかな。会議が一段落して小休憩中、事務所の方のご好意で、矢沢さん本人に直接会う機会を作りましょうとのお申し出があった。いくら洋楽好きの僕でも矢沢さんと会えるのは嬉しい。何せ小学校時分から「時間よ止まれ」の矢沢さんを知っているのだから。あ、裏に住む、RCサクセションを教えてくれた、この同一のお兄さんからまたしても「永ちゃん」の存在を知らされたんだったかもしれない。部屋の中には、バッチリ気合のリーゼントでキメた強面の矢沢さんがこちらを見ている白黒の大きいポスターが貼ってあった気がする。矢沢さんの事務所の方の言葉に内心「ほんとに会えるかなぁー」と訝しがったが何とこれが実現したのだ。会議が終了して解散後、有線チームの間で矢沢さんの本『成り上がり』が話題になり、僕は先輩4人から「『成り上がり』は読んだか?あれを読んで無いのか?今すぐ読んでおけ。永ちゃんに会うまで必ず読んどけ。『成りあがり』を知らないなんて人生を知らないのと同じだぜ。勉強だぞ」と結構厳しい口調でお説教された。何かと口うるさい先輩たちだとずうっと思っていたが割合これは素直に聞けた。