NHK「あの人に会いたい」−12

クロッパーさんのプロデュース作品に、イギリス人ギタリスト、ジェフ・ベックの南部ソウル系の通称「オレンジ・アルバム」(’72)がある。横道にそれるが、ある記事の紹介でこの時の事を、ドラムス担当のコージー・パウエルが「ジェフとスティーヴのふたりだけがくっ付いて製作を進めやがった。メンバー皆それがムカついて辞めてやった」的なことを発言していた。当時、ベックは29歳、コージーは26歳。ベックとコージーの顔はよく似ている。ベックの催すオーディションにコージーが応募して合格を出したのはベック。2年ちょっとでケンカ別れと相成る。僕はベックのグループに籍を置いていた面子はみんな好きで、ベック周辺の人脈のその後の動向は追跡し、その発表されたレコード群はある程度舐めた。中でも「ハミングバード/密会」は最高。これは黒人ドラマーのバーナード・パーディの存在が大きい。肉体にビシバシ鞭が打たれるグルーヴ感が極楽である。先ほどのコージーの発言だが、その場に居合わせたわけじゃないから真相は闇で謎だが、傍から見ていると面白いねぇ、それぞれ人の見方っちゅうもんは。メンバーがベックの言うに従うことに不満を抱えていた、ということになるが、言うほどそんなに強烈だったんかね。