NHK「あの人に会いたい」−10

「Ryu’s Bar」で村上さんが「何を聴いていましたか?」との質問に「ローリングストーンズとか、ジャニス・ジョプリンとか、ジミ・ヘンドリックスとか」と言ったあと、「オーティス・レディングとか、サム&デイブとか」と言っていた。清志郎さんは10代からサムさんのファンだったのだ。同ライブ放送番組ではサムさんのインタビューが挿入されており、清志郎さんの思い出話しが紹介された。この録画した番組は不覚にも操作ボタンを誤って消去してしまい繰り返し観れない。何とか思い出せば、サムさんはこのように語った。「ずうっと昔に、日本公演に来た際、ライブ会場に着き、楽屋へ向かって廊下を歩いていた。すると、その廊下にヒョロっとした青年が立っていたのに気付いた。とても痩せていたのを覚えている。彼を見ていると、『何か手伝うことはありませんか』と英語で彼の方から口を開いた。また、僕のファンであると言い、自分がシンガーを目指しているとも話してくれた。僕は親しみが沸いて来てなんだか彼のことがとても気に入った。名前を尋ね、僕は『じゃ、キヨシ、カバンを持ってくれるかい』と言って一緒に楽屋まで運んでもらったよ」。清志郎さんの訃報はサムさんのもとへ届いているであろう。生前の清志郎さんが癌の病に臥して治療に専念していたこともご存知であったと推測されるが、それでも、訃報に接したサムさんは「俺より先に逝くなんて」と、清志郎さんを失ったことは納得がいかなかったはずだ。今月2日で永眠についてから4年目を迎えた現在、サムさんは清志郎さんを失った悲しみ、もどかしさといった感情に対し、いかほどかその折り合いは付けていると察した方が自然な気がするが、サムさんにとって清志郎さんはどんな存在だったのであろうか。弟のようなものか、弟子のようなものか、仲間のようなものか、いや、もっと突き詰めて、海を隔てた東洋地域の魂的な仲間のようなものなのか。サムさんの内にある清志郎さんの記憶を洗いざらい全て耳にしたい衝動に駆られる。