NHK「あの人に会いたい」−9

この来日ライブだが、ゲスト出演者として清志郎さんが画面に映し出された。サムさんが名を呼び、清志郎さんが下手(聴衆席からみて左側)から現れた。ステージ中央のサムさんは自ら清志郎さんの方へ歩み寄り、両腕を大きく左右に拡げ満面笑顔で清志郎さんをハグした。やがてステージは進行して清志郎さんもバック・コーラスで参加し清志郎ヴォイスが場内をかっ飛ぶ。清志郎さんはステージ中央へは移動しなかった。下手隅の位置から決して動くことはなかった。カメラは清志郎さんの様子を下手の真横から捉えていた。上半身のカメラ・ショットで表情もよくわかる。そのアングルで清志郎さん越しにはステージ中央で熱唱するサムさんの横の姿が映っている。清志郎さんが憧れの人と同じステージで共演している瞬間だ。視聴者は、日本のスター、清志郎さんが夢を果たしたその歴史的瞬間を目撃した形であろう。間奏部に移り少し経つと、サムさんが突如として清志郎さんの方を振り向いた。こちらカメラ方面を向いているわけである。振り向いたかと思うと満面の笑顔を清志郎さんに発信する。もうこの時のサムさんの顔ったらまるで7歳ぐらいの少年状態。清志郎さんに近付いて来る。そしてまた両腕を目一杯拡げハグを行う。さっきのハグから3分ぐらいしか経っていないかもしれない。すごい短い時間である。サムさんはもう嬉しくてしようがないって感じの映像だが、僕も何だか嬉しくなっちゃった。この2回目のハグに清志郎さんはただただスマイル顔で応じていた。決してハグし返さず、両腕は下に下がったままなのが印象的だ。ハグし返すのは畏れ多いからという理由は深読みだろうか。今になって思い至ったが、他に思い付かない。