LP「RUSH/SIGNALS」(続)-4

しかし、子供の頭の中から発っせられた「SIGNALS」は、受け止めてあげたいもの、そして返してあげたいものだ。否、自分が受け止めたい、自分が返したい、なのか。前者の如き接する際は、人との間を大事に築ける大人に育つことを望んでいて、後者の場合は、俺個人に何かしらのケミストリーが働くことを望んでいる、といえると思う。声を掛けたときの俺の頭の中には、どちらか片方というわけじゃなかった。双方の了見を持っていたと冷静に振り返られる。俺は女の子の方へ向いたまま独り言のように「俺もむかし小さい頃、大人にこんな同じようなこと言われたかもしれないなぁ」と続けたのだった。自分自身も当時、言われたような気がして、口に出してみたかった。同時に若女将の存在もあって出た発言である。笑いが起こった若女将の反応に、こちらもまた反応し口に出したのだ。女の子はすっかり下を向いていた。どうしてよいかわからなかったのだろう。床に座り込んだまま、何かボールをいじっていた。俺は若女将の方を向いて挨拶し、「ありがとうございました」と見送られながら、店を出た。「さぁ、腹減った、どっか三茶方面の店で腹ごしらえしよう」と淡島通りから茶沢通りに乗っかった。