LP「RUSH/SIGNALS」(続)-3

「さっき笑ったのねぇ、あれねぇ、大人の笑い」。若女将の「うっあはは・・っ」という笑いが起こる。女の子は、俺の発言とお母さんの再びの笑いが、よくわからないようで、素に戻った。大人にしかわからない次元のやりとりだと感じたかもしれない。さっき、女の子が「お母ぁさん、なに笑ってるのぉ」と疑問を発したとき、俺は無反応で終わっちゃいけない、応えてあげないといけないという想いを強く持った。その場ですぐ「(今のは)大人の笑い」ということを言いたかった。しかし、伝票の記入に集中していたのと先を急ぎたいという逸る気持ち、自分が喋ることで若女将の作業が止まって邪魔してしまうようなら悪いから、という勘が働いて言わなかった。この女の子が自ら疑問を発したことはとても良いことで大事である。これに対して大人が反応しないというのは良くないと思った。若女将にしてみれば、お客さんの前で子供を相手にする振る舞いは見苦しい→してはいけないという意識が働いたのだろう。