You Tube Vandenberg/friday night−3

僕はこの一回のコンサート体験で「結構簡単に行けるんだな・チケットを買うのが恥ずかしく億劫だが意思をしっかり持てばチケット屋と対等に話して買えることは出来る・会場は悪い奴に絡まれるそうで怖いがそれはあんまりなさそうだ」とサホド難しいことじゃない事を覚えてその不安や怖れの免疫が出来た気がする。あとあと、体験したいという外タレのコンサートに思い立ったら足を運べるんだという道を開いてくれた。さてこの初ライブの会場は中野サンプラザ。2階席だった。村上は1階席で後列より2階席前列の方が観やすいよと同クラス仲間の渡辺というドラム叩きの奴から聞いてそれに従ったそうだ。一つ年上だが進級し損なった男でHR・HM好きなのは言うまでも無い。既にコンサート体験者だった(?)。この男はライブ・ハウスでコピー・バンドを演っているだけあって上手かった。他の奴と全然違う。家にドラム・キッドがあって「俺んち来いよ」と言ってくれて村上なんかと遊びに何度か行った事あったな。当時のチケットはどこかに保管しているので調べればわかるが、たしかA席じゃなかったかな。だから4人で一番後ろに一回並んで座ったと思う。このとき我々の前に聴衆の姿は全くない。我々以外誰も居なかったのだ。何とも滑稽な風景に4人で「なんだ?!こりゃ?!」と驚きそして笑った。結局終了後、2階席は10人足らずの聴衆で1階席は満席のように見えた。1ヵ月後月間雑誌「Buurn!」の記事を見ると1階席70%2階席0%の入りと報告していたはず。会場が暗くなりいよいよ開演とわかると誰からともなく「前へ行こうぜ」と4人で最前列に座った。係り員に注意されるのではと気掛かりなのも最初の10分ぐらいで、あとはずうっとステージに魅入っていた。ほとんどギターのエイドリアンだけ観ていた。1階席のみんなはこぶしを上げて乗っていた。僕はそれはしなかった、というか出来なかった、恥ずかしくて...またこぶしを上げる意味もあんまりよくわからなかった。和田誠さんの深夜3時に始まるFM横浜の「ミュージック・ゴーズ・オン」という番組の中で月曜日ゲストの酒井康さんが「コンサートというのは見に行くのではない。参加するものだと僕は思っている」と話していたのはこのコンサート体験から約2,3年後のことだが、この意見に僕はしばらく「あの時こぶしを振り上げていなかった僕はコンサートに参加していなかったのだろうか?」と自問自答を繰り返す時期が長く続いた。