NHKテレビ「SONGS」で八神純子ー3

結婚後ご出産してからは子育てのために活動を休止。自分自身が成長しないと子育ては出来ないことを思い知り必死に頑張ったそうで、短期間で自ら成長した時期だと振り返っていた。締め括りの曲は、アメリカで家族生活を送っていた頃によく現地ミュージシャンから「「いい曲だね」と褒められたという〝想い出のスクリーン〝。「YOーYOーYOー!」と僕は拍手する。僕の八神さんの一番好きな曲なのだ。作詞は他人で100%オリジナル作品でないとはいえ、涙腺をぐいぐい刺激する曲そのものと歌声にとてもよく溶け込んでいる。この曲は泣ける。八神さんの声質によるところが大きいといえる。「愛しているのなら...」「もう一度...」というこの詩を、綺麗な声の上に泣きの叫びが乗っかるのが極め付けだ。男はこうは歌えない。別な歌い方をするしかない。説得力ある歌手を考えてみたが、来生たかおさんが適任者ではなかろうか。小学生当時この曲は「ザ・ベストテン」では10位から2つ三つランクを上げたり下げたりが続いた記憶がる。一旦11位以下に落ちて次の週に再度10位以内に入り八神さんがブラウン管に登場した時は嬉しかった。そうかぁ、小学生の時にも大好きだったんだなぁ。その後やがて20位圏外に至って自然に忘れ去って行ったが、それから10数年後の25歳のときにベスト盤を買ったはずだ。洋楽一辺倒時代から変化を求め始めた頃だ。この頃も一番は〝想い出...〝だったと思う。ヒット曲を作り続ける葛藤に苦悩した時期が八神さんにはあったことを先述したが、この曲はどうか。ヒットを狙って作ったメロディではない。頭の中で演出や計算を繰り返した類いのものとは無縁さを感じる。先に情緒ありきだ。〝みずいろ...〝のときと同様、自然に出て来た、また八神さんの云う求めているメロディを掴み取りに行った、という手続きを踏んでいるようで、これは、生みの苦しみを経た楽曲だと思う。