NHKテレビ「SONGS」で八神純子ー2

自分が小学生の頃テレビ「ザ・ベストテン」でのブラウン管の八神さんの姿とその〝みずいろの雨〝を観聴きして〝いい〝とただただ耳を傾けていた記憶が甦る。今まで聴いた事のないメロディの新鮮さ、歌声の高音部のファルセットも然る事乍ら地声の張りの気持ち良さに一瞬我を忘れたようなところがあった。他に、いま大人の自分の言葉で言えば、新しく出て来た人で何かツンツンしている感じで取っ付きにくそうで直ぐ怒り出しそうな雰囲気があるけど悪くない人だなと子供ながら評していた気がする。しかし現在とお変わりない話し方だと思うのでこれは不必要な恐れから派生した子供時の誤解だ。しかしそういえば八神さんのしゃべっているところの記憶がほとんど無い。司会の黒柳徹子さん久米宏さんとどんなやり取りがあったのだろう。さて、この「SONGS」で八神さん自身の口から聞いて感じ入ったのは「自分がヒット曲を作り続けるのに疑問が湧き葛藤があった。ヒット曲を周囲の人たちは良いと言ってくれるが、自分は言われれば言われるほど良いとは思えなかった。これで本当に良いのか。ヒット曲は頭を使って書く。かつての〝みずいろの雨〝で出て来たサビのような、そういう自然な気持ちで作るべきとの思いが根本からあった」という発言で、その後のアルバム作りに反映させていたようである。これは八神さんのアーティストとしての面の告白であり、ファンであるなら八神さんのそういう苦しさを分かち合いたいと共感を呼ぶ発言ではなかろうか。その当時の僕の年齢では理解出来ない世界なのは言うまでもないが、現在、大人の僕には、繰り返し傾聴し考えさせられる語録である。