三軒茶屋将棋倶楽部ー6(ようやく"終″)

先生自身があんこ好きであることを俺が知っているというのを覚えているのが嬉しいではないか。当時、先生はあんこが好きであることを来場客に公言していたから、知っている人は多いはずだ。さて少々の談笑にひと段落した。道場内は子どもたち5人ぐらいの稽古中である。突如、先生は「はい、どうぞ、座って下さい。では、やりましょう」と、駒を並べ始めた。いやぁ〜嬉しいの何のって。道場内は大人はご法度だ。が、許可された。これはここだけの話しである、もしこれを読んだ人が居たら他言しないで欲しい。さて、稽古中の子どもたちに混じって、俺もお教え頂くこととなった。駒を並べ終わり「お願いします」と頭を下げる。先生の振り飛車、俺の玉頭位取りという戦型になった。途中沸々と、将棋道といった味わいを感じた。久しぶりの味だ。先生の作法はプロ特有のオーラが出て、なにやら別世界に連れられたようである。楽しい瞬間である。この勝負は負け。「6五歩は急ぐ必要ないんですよ」と第一声。良いことを知り勉強になった。次の戦型は矢倉。端歩攻めに遭い、コテンパンに負けた。「同歩と取らず1八歩と低く受けるんですよ」と先生。「へぇー」とこれまた将棋の摩訶不思議のオモシロさの真髄と接するに感じ入った。考えてみると、これは有名な手筋だ。知らない俺がアホなのだ。次も矢倉。先生の猛攻である。大駒を切って、ジッと歩を伸ばし、銀を叩き打って絡んで来るという物凄い襲い掛かりだ。「へぇ〜!ひゃあ〜!」と関心してしまった。将棋から遠ざかっている俺だが、はやり将棋は夢道具の一つ、オモシロい。先生の子どもたちへの教え方は、将棋を好きで熟知した上での指導たるもので、番外においても言葉は名言揃いだった。中でも「将棋はちゃんと座ってから(指す)」は俺の耳にも厳しかったが、プロへの道を歩む者は必須事項である。ところで、先生にはお弟子さんが居る。プロの一歩手前、3段リーグで闘っている卵たちが4人いる。そのうち1人は、小学4年生だったときに指した。俺はたくさん負けた。今期リーグを頑張って納得行く結果を出して欲しいと願う。
Miles Davis- Riot (ネェフェルティ」のB面1曲目。ハンコック作。一年後、自身のアルバムに取り上げている。10885)::: https://www.youtube.com/watch?v=DHSJs0ltVyg