年月

2日、渋谷に出る。ブックオフにて将棋棋士島朗(しま・あきら)著「心の鍛え方」という本を¥500で購入。去年の出版でまだ新しい。少し立ち読みすれば面白くつい読み進めてしまった。将棋と対峙する棋士の考えが綴られておりとても興味深い。棋士という職業が人生にもたらす味わいを窺い知れる。棋士だからこそ体験する極限状態、めくるめくる謎の世界にファンとしては「そういうこと、知りたかったんだ」というものに沢山出くわせる一冊だ。実は先々月の2月中旬、この本は同場所にあった。同じように立ち読みして「良い」と思ったが買わなかった。会計を済ませて店を出て、今度は某ユニオンへ向かった。が、途中、左横に何か異変を感じて目をやれば、いきなり暗い。いつもなら点いている電光が点いていない。その建物のガラスの中へ焦点を合わせれば、何も無い。かつてここは店であった。確認に近付く。椅子、テーブルが片付けられている。そう、閉店なのである。台湾料理店だ。宇田川町の交番の背後に位置している。僕が中古レコードのハンティングを始めた19歳から存在していた。もう四半世紀経過だ。ずーっと、あるものだと思っていたが突然にその姿を消した。「1981年に始まりましたが、この度、閉店することになりました。33年間ありがとうございました」という張り紙を見て、1回も入ったことが無い店だが、寂しかった。先月一杯で「笑っていいとも」が32年間で終了したが、33年間ということは、開店は「いいとも」より一年早い。僕が中学生のときに開店したのである。名前は何とと云ったか、わからない。少々立ちすくしたが、さぁ、ここから10秒とも掛からないユニオンのビル5階へ。ハードロックとパンク専門フロアーだ。ヴァンデンバーグの1984年初来日公演映像のDVDを発見。ん〜、良い発見、これは欲しかった。が¥3650とちと高いから諦める。僕の外タレ・コンサートの初体験はこのヴァンデンバーグだ。この翌年の再来日公演のときである。この公演からまもなく解散したはずだ。事実上、解散コンサートじゃなかったのかなぁ。店内で掛かっている曲に耳が反応する。Dioの「ストレイト・スルー・ザ・ハート」だ。3月19日の本日チューンで紹介した。ギターの音がヴィヴィアン・キャンベルとは異にするため即座に誰かがカヴァーしているとわかる。歌い出せば、やたらキーが高い。まぁまぁ上手いか。ギター・ソロは妙ないじりが無くシンプルにまとめている。次に掛かったのは、レインボウの1stに収められている「テンプル・オブ・ザ・キング」。ヴォーカルがいきなり、クラウス・マイネだとわかる。これは素晴らしいと思った。曲のチョイスが何かしら胸を打つし又凡そ30年前と変わらぬ声質、声量なのだ。そそくさと受付へ歩を進め、Now Playingの展示物CDを手に取る。ロニージェイムス・ディオのトリビュート盤であり、出たばっかしだとわかる。モーターヘッドレミー・キルミスターもかんでいる。帰らなければならず全曲聴けず店を出る。こんなの出るなんて驚きであった。ロニーの死の直後というわけではなく、幾年か経てのリリースである。
本日チューン:The Police - Synchronicity 1 → https://www.youtube.com/watch?v=R8976fuIqCo 12636