渡辺真知子 Live at Sakura Hall―6

FM世田谷でDJをしているときの真知子さんは自身の作品を「わたしの子供たち」と言う。子供たちは成長しているのだ。「海につれていって」の初々しい情緒は忘却されることはなく、進化し続ける。これに嬉しさを覚えずにはいられない。ライブそのものを純粋に楽しむ他に、16年ぶりにライブへ行くと決まった一週間前から自分がライブと対峙してどういうスリル感の遭遇を果たすのかを求めた目的、これはもう、この作品がしっかりと原点を携えながら成長していた事実を目の当たり出来たことで達成された。いや、これはスリルと云わないであろう。この場に居合わせたからこそ教えてもらったいう感慨に更けている。いっそスリルなんてモノは何処へ消滅させよう。真知子さんは「自分が歩んできた道のりはこうだと胸を張って提示せよ」という声明を真直ぐに体現してみせたのだ。そのステージを目撃した僕は「これでいいんだ」とその力強いポジティヴ感を身をもって体験し背中を押されたような気になった。