山下達郎ス/プリンクラー:3(終)

当時のラジオで「この曲はアルバムには入らなかった」と達郎さんが話していたのは何となく覚えていた。「アルバムに入らなかったものの、良い出来の作品」とも言っていたはずだ。達郎さんのアルバムは3枚持っている。僕はそりゃ「メロディーズ」が大好きで、先のアルバム未収録というのは、その年数を割り出して「メロディーズ」であるに違いない見当は付いていた。ところでこの曲を覚えていると云っても、非常に薄いもので、断片的も断片、一部分しか記憶にないのだ。それは曲中に現れる「フィンフィンフィンフィン」という効果音である。これだけなのだ。つまり背景みたいな音しか知らないから、「あれ、どんな曲だったっけ」と一途の確めたさに明け暮れてきたといってよい。29年ものあいだ知らずして不幸だったとの向きはあろうが、胸中は宝物を見付けに行くような冒険心が弾み続けていた事実は認められるからしょげることは無い。当時はラジカセの前で始終を耳にしていたはずなのに歌のメロディ、サウンド、演奏は全くわからなかった。当時はこの効果音しか聴いていなかったせいであろうか、よくわからない。今回のラジオにて、初めて聴いたようなものである。達郎さんの例のキーが高いボイスでこのメロディを歌われると何も怖いもの無しの強い気持ちが持てる。我が部屋でyoutubeにてかなりのへヴィ・ローテーションを重ねているうち段々「あーこういう曲だったのか」と当時15歳の自分に想いが行った。「ちゃんと聴いておけよ」と側で教えてやりたい気持ちになった。