NHK「あの人に会いたい」−63【終】

最後に番組内に戻ろう。清志郎さんの話す昔の映像が2つ流れるのだが、これは清志郎さん語録というか、我々へのメッセージである。1つは、平成13年の映画「不確かなメロディ」である。この中では、「若い人に聴いてほしいですよ、やっぱり。若い頃に聴いた音楽というのが、一生を決定しちゃうんですよ、多分。俺はそうだったんだけど、ですけど。テレビで流行っている今流行の音楽だけが音楽じゃないんだって。こういう方法もあるんだっていうのを知って欲しいです」と移動バスの車中で答えていた。とても、清志郎さんらしさが伝わってくる。もう1つは、10年ぐらい前か、50歳のときNHKに出演した映像である。それは「自分の夢を信じてそれを実現するために努力したほうがいいと思うんですよ」「大人になると人生つまんなくなっちゃうとかね、そう思う人も若者の中にすごい多いと思うんですけど、そんなことないです。もっと面白いです、大人になったほうが」というもの。清志郎さんが言うと説得力全開だ。番組最後は2007年のジョン・レノン・ライブという映像の中から「イマジン」が流れる。日本語で清志郎さんが歌う。訳はご本人。素直に聴ける訳し方だ。「天国はない ただ空があるだけ 国境もない ただ地球があるだけ みんながそう思えば簡単なこと さぁ 夢かもしれない でもその夢を見ているのは きみ一人じゃない ひとりぼっちじゃない」。歌は終わり、清志郎さんは右手でピース・サインを作り自ら膝まづきながら上に挙げる。そのピースサインがクローズアップされ画面一杯に埋め尽くしストップモーションで番組は幕を閉じる。