LP「RUSH/SIGNALS」(続)−18

「すぐ聴けますけど、お持ちのCDはありますか?」と別の店員が穏やかに申し出てくれた。この店員も俺がメール連絡した事情を知っていたようだ。「じゃぁ、これお願いします」とCDを渡すとプレイヤーに掛けてくれた。一曲目は、グラハム・コリアーを聴かせてもらった。ん〜、良いのか良くないのかよくわからない。自分ん家とあまり変わらない気分で聴いていた。LPのセッティングが終わり、次はクインシー・ジョーンズ。俺の気のせいか、パティ・オースティンの歌声が金色にキラキラ輝いている。反射光を見た訳でもないのに眩しさを覚える。バックの演奏もなんて高級感のあるサウンドなのだろう、こんな幸せもっと欲しいぜ。これは自分ん家では味わえない。とりあえずこれで、スピーカーの良さはわかった。次は大橋純子さん。大橋さんの歌声も、同じように眩しさを覚える。その次のゴングも凄い。まるで別モノに聴こえてしまった。このアルバムは録音が良いであろうと思い続けて来たが、やっぱり良い。ベースとヴァイブのサウンドが、こんなに浮遊感を持って前面に出て来るなんて今まで身に覚えがなかった。立体感とともに迫力が増し圧倒された。いや〜、18年目にしてわかった。ん〜、これは機器だけのせいなのか、俺自身にも聴く姿勢に踏み込みが足りなかったんじゃないか、ヘッド・フォンで試して聴くとかの工夫もして来なかった。最後のジェフ・ベック。これが凄い。こんなにも凄い録音だったのかと思い知らされる。ギターを弾いている息遣いが克明に伝わって来たのだ。まるで、ベックが目の前で弾いていて指使いまで見えてくるようだ。これにはただただシビレるしか能が無かった。このレコード、こんな事まざまざと記録されていたのか!知ぃるぁぬぁくぁってぁぬぁ〜。